2021-01-01から1年間の記事一覧

ノイズだらけの海を歩こう:2020年3月から7月の音楽の話(③)

ノイズとはなにか、という問いは、常に面白い。なぜなら、答えはいくつもあるのに、どれが正しい正解であるのかはわからないという類の問いだからだ。 これは、とりあえず辞書を引いてみればわかる。まず出てくるのは音の事柄(雑音)であるが、続けて多領域…

不完全な天使たちはいつも遅刻してやってくる:2020年3月4月の音楽の話②

インターネット・アートの代表的な作品の一つに、マイケル・ウルフ(Michael Wolf)の『A Series of Unfortunate Events』(不幸な出来事シリーズ、2010年)』というものがある。グーグル・ストリートビューのなかに映り込んだ、さまざまな不思議な場面(複…

日常はゆっくりと動きを止めようとしていた:2020年3月4月の音楽の話

いま思うと、いつも空ばかり見ていた。 といっても、感傷的な心象ではない。具体的に、煙草を吸うために窓を開けて煙をふかしながら、ベランダ越しに見える空を見る時間が多くなったということだ。2020年3月と4月の風景は、そうして見た空ばかりだった。 日…

即興と作曲、歌と詩と電子の2020年代

ドラクスラー・オクテットのアルバムGLEDALECのジャケット どうも、とうとう緊急事態宣言の中で、本格的な自粛期間に入ってしまいました。ほとんど外出もせず、もっぱらリモートでの日々です。そんなさなか、外にでたり遊びに行きたいという時間を使って、欧…

19世紀の遺産

コモンウェルス加盟国の地図。ウィキメディアコモンズから さいきんのUKの文化動向を見ていると、いわゆるブラックというか黒人を主題にしたものが増えてきているように思います。ロンドンを中心に、イギリスはある程度の多文化社会を作り上げているように思…

プログラム・即興・言語 ライブ・コーディングの愉しみ

最近つくったアルバム。BPM380や550といった値を用いています 4月末から、ライブ・コーディングという方法を使って、音楽を作り始めました。そのことを書こうかなと思います。 きっかけは、前に書いた[ _ _ _ ]のライブを見たことですね。彼らはスーパーコ…

デジタル世界で距離をこえて共有すること [___]について

ライブ画面。縦横3列ずつ、9つのコーディングが並行して行われる。画面はさらにそのスクリーンを、サンダーソンのいるギャラリー壁面に投影した映像が流された 先日、[___]というイベントを見ました。オンライン、フェイスブックのライブ上で、主催は香港…