躍動する東京の電子雑音2020

今回は、最近の日本のシーンで面白そうと思う映像を紹介してみたいと思います。まず、ちょっとだけ前提が必要なので、こちらをご覧ください

 

 

野本直輝さんという方のライブの映像ですが、これはライブ・コーディング(コードは、コンピュータでデータを表現するもの。それを直に打ち込んで、次にどういう音が鳴るかを書き込んでいきます。生のコンピュータ音楽というか)と、あとモジュラーシンセという楽器(それぞれ別々の会社が作っているモジュールを、ケーブルでつないで、音を出すようにしていくもの。規格は世界共通のがあって、ただモジュールは別々に集めて、それらをつないでいくわけです)と、その両方が映っています。

ちなみにライブコーディングは「アルゴレイブ」という企画があって、これは世界中でやっていますが、東京でも盛んに展開しています。主催のレニック・ベルさんも、東京に滞在されている、のでしょうか。ライブコーディングがメインのイベントです。で、野本さんは最近、この両方を組み合わせた演奏をしていて、即興なのか、打ち込みなのか、ノイズなのか、コンピュータ音楽なのか、まあ細かいことは置いておいて、面白い試みですよね。

で、さいきん面白いと思うのは、このライブコーディングやモジュラーシンセを使ったりしている音楽です。これらはあくまで楽器なので、実際にはいろいろな音楽ができるのですが、とくに速かったり、音が豊かであったり、リズムが特徴的であったり、これまでとは少し違う感触を持っています。また皆さん、世界中で活動している。東京2020年代の音の一つかなと、思っています。

まず野本さんのアルバム宣伝映像から。いきなり高速で電子雑音です。

 

 

次は、野本さんとも共演多数の、Kyosuke Teradaさん。バンドHUH(ハーと読みます)やシンセユニットを演っています。とにかく速い。速度加速度だけが体験されるようです。

まずハーから。ヒップホップのハハノシキュウさんとも共演していますがライブ動画。ものすごい速さのドラムとギター、爆裂絶叫の即興演奏をどうぞ。

 

 

ついで、シンセユニットThe Obey Unit。ライブを見ましたが、暴力的な音の多さで、そのままものすごい速度で動いていきます。ライブ動画。

 

 

同じ企画などにも参加しているところで、Yuko Arakiさん。ループの中に密かに変化が含まれていて、ノイズとともに刺激的な音を形作ります。新作はこちら。

 

 

あと、モジュラーシンセを使ったところで、viviankrist。日本を代表するグラインドコアバンド、ギャルハンマーの元ボーカルで、今はオスロ在住。シンセをメインにアルバムを、実験電子音楽で有名なコールドスプリングなどから出しています。初夏に来日して東京でライブがあるそうです。新作のリミックスアルバムから。

 

 

など。分厚いハーシュノイズの波、とは、またちょっと違う、すばやく、物量過密気味で、高速通信を追い抜こうというばかりに飛び交っていく電子雑音、そこが今おもしろいものの一つです。